TOP 院長コラム 認知症その1 – 認知症の種類 –

院長コラム #2-1認知症その1 – 認知症の種類 –  一覧に戻る

認知症とは、何らかの原因で脳細胞が死んだり、働きが悪くなったりすることによって記憶力や理解力、判断力が低下し、6ヶ月以上継続して社会生活に支障が出ている状態をいいます。「加齢による物忘れ」を認知症と勘違いしている人も多いのですが、「認知症によるもの忘れ」とは全く違います。

認知症にはいくつかのタイプがありますがアルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症・血管性認知症・前頭側頭型認知症を4大認知症といいます。

アルツハイマー型認知症

脳の神経細胞の周りに「アミロイドβ(ベータ)」というタンパク質が大量に蓄積すると神経細胞が破壊されます。そうすると徐々に脳が萎縮し、認知機能が低下するため認知症の症状が出てきます。物忘れなどの「記憶障害」から始まり、自分のいる場所や時間がわからなくなる「見当識障害」、妄想や徘徊など一般的にイメージされる認知症の症状が出現します。女性に多く、認知症の60%以上がアルツハイマー型認知症です。

血管性認知症

脳梗塞やくも膜下出血などの脳の病気で発症する認知症です。損傷した脳の部位によって症状が違いますが、「記憶障害」「判断力低下」の他に感情のコントロールできなくなる「感情失禁」や手足が麻痺する「運動障害」、食べ物がうまく飲み込めない「嚥下障害」、尿や便を漏らしてしまう「排泄障害」など身体機能の低下もみられます。高血圧症や糖尿病、肥満などの生活習慣病が1番の原因で男性に多い認知症です。

レビー小体型認知症

レビー小体とは脳の神経細胞にできる特殊なタンパク質で、大量にできた場合では神経細胞が破壊されるため認知症が発症します。現実にはないものが見えてしまう「幻視」は代表的な症状です。「家の中に知らない人がいる」「服の中に虫がたくさん入ってきた」などと言うようであれば要注意です。小刻み歩行や手足の震え、前傾姿勢などのパーキンソン症状も多くみられます。

また、「自分を子供だと思っている」「定年退職して何年もたつのにまだ働いていると思っている」などの「誤認妄想」もみられます。

前頭側頭型認知症

認知症の中で唯一、「難病指定」を受けています。初期にはぼんやりしている時間が増え、他人や身だしなみに対する興味がなくなり、同じ言動を繰り返します。人格の変化や異常行動が現れるため精神疾患と間違われることがあります。また、罪悪感がなくなるため万引きや痴漢をすることもあります。中期には同じ行動を繰り返す「常同行動」、後期には精神状態が不安定になり、食事をしない、部屋に引きこもるということも多くみられます。

4大認知症は完治するというわけにはいきません。4大認知症以外には脳の周りに血液がたまる慢性硬膜外血腫、脳脊髄液が脳にたまる正常圧水頭症、甲状腺ホルモンが不足する甲状腺機能低下症などが原因で起こる認知症があります。これらは適切な治療によって完治あるいは症状が改善される可能性の高い認知症です。