院長コラム #3便潜血検査 一覧に戻る
大腸がん検診で一般的におこなわれる検査です。
早期発見につながるため、大腸がんの死亡率を低下させることが科学的に証明されています。
大腸がんの上を便が通過する際に、こすれてわずかに出血することがあります。排出された便の中に血液が混じっているかを調べ、混じっていれば陽性と判断されます。
通常は採便を2回おこないます。1回でも陽性と判断された場合は精密検査(大腸内視鏡検査)が必要です。
便潜血検査が陽性で大腸内視鏡検査を受けた人の約3%に大腸がんが見つかっています。
身体的な負担がなく、検査費用も安価であるというメリットがある反面、必ずしも大腸がんの発見につながらないというデメリットもあります。大腸ポリープや大腸憩室、大腸炎、痔などでも陽性になることがあります。
便潜血検査が陽性で要精密検査と判断された人の精密検査受診率は約60%で、他のがん検診の精密検査受診率の約80%と比較すると低い傾向にあります。これは、「硬い便で肛門が切れた」「痔がある」「生理中だった」「以前も引っかかって大腸内視鏡検査を受けたが異常なしだった」などといった自分に都合の良い解釈をして精密検査を受けないためですが、これらの理由は大腸がんがない根拠にはなりません。痔がある場合でも精密検査は推奨されます。生理中の場合は便潜血の再検査が必要です。また、便潜血の再検査を希望する人もいますがこれも間違いです。元々便潜血検査は精度の高い検査ではないため、1回でも陽性であることを重要視するためです。
大腸がんは日本人に多いがんの一つです。2020年の統計では部位別がん死亡数で大腸がんは女性では第1位です。乳がんや子宮がんではありません。男性では肺がん、胃がんに次いで第3位。大腸がんは進行が遅く、早期発見により完治できる可能性が高いがんです。便潜血検査が陽性となったら必ず大腸内視鏡検査を受けましょう。